夕方、は庭院にいた。
彼女はいそいそ水をやっている。秀麗に頼まれたのだ。
花はない、何処か寂しくもあるが落ち着いているようにも思える。
(さてと、これで終わりかな。)
ふわ、と笑う。その時
「おや、君だね秀麗殿が言っていた『友達』は」
「え?」
気配も無く、誰かが突拍子無くの後ろに現れた。振り返ってみると、一人の男が立っていた。黒い髪に、黒い瞳。けれどそれは闇というよりも、むしろ藍色の染料をずっと濃くしたような色合いだった。
長い睫に切れ長の瞳。すらりとした物腰によどみない声
うわ、美形だ。
というか――彼は誰だ?
「おっと、紹介がまだだったね。私の名前は藍楸瑛。よろしく」
その美麗な面立ちに甘い笑みを浮かべて『藍楸瑛』は手を差し出した。大きくて、たこが出来ていることがすぐ見て取れる掌。
「えと、 といいます。どうぞよろしくお願いします」
差し出された手を握り返す。
握手、だった筈だが
「うん。宜しく」
それをひっくりかえされ軽くキスされる。
「んなっ「何やってんだきさまぁあああ!!!」
余りに慣れない事に激昂するというより驚愕すると(だってあっちの日常にそんな場面多分無いから)、のかわりに誰かが怒鳴った。
「誰彼かまわず口説くな、頭に花咲いてるのか貴様!!」
「はいはい、嫉妬しない」
「誰が嫉妬なんてするかぁ!!」
………
随分会話にびっくりマークが多いなぁ
だが、怒ってはいるもののその人は楸瑛さんと並ぶくらいに美人さんだ。
白皙の美貌、とでも言おうかという感じな青年。
不思議な色の髪がくせっ毛で、それより珍しい色の瞳が(まさに文字通りというかなんというか・・・でもこれしか良い表現が無い。というか言いようが無い)目を引く。
楸瑛さんに比べると華奢かもしれないが、男性だ。私より背が高い。
その人がやっぱり突然こちらを見た。
凝視してきた!
「あー李絳攸だ。といったか」
考えあぐねるような、そんな仕草でこちらに話しかける。
「はい。といいます」
「可愛い名前だね」
「お前は黙ってろ!!」
……仲がいいなぁ
絳攸、さんはそこではっと気付いたのだろう。
こほんと咳払いをして。再びこちらに振り返る。
流石に人前で(しかも初対面)怒鳴り散らすことに恥ずかしさを覚えたのだろう。
心なし頬が赤い。
「秀麗が、食事が出来たから来てほしいといっていた。行くぞ」
そういうなりくるりと背中を反転する。が
「ねぇ、君。そっちは門だよ」
「う、うるさい!!この木が気になったんだ」
……駄洒落?
楸瑛さんがおかしそうに楽しそうに微笑んでに囁く。
「あれで方向音痴なんだよ。」
秘密だよ、と楸瑛さんは笑った。
ばらすな!、と絳攸さんは怒鳴った。
が思ったこと
この国には(若干黒かったり女好きだったり短気だったりはするが)美形が多い。
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*後書き...
か、かけましたです!!
こんなのでよろしかったのでしょうか・・・(ひええ)
如月様!!後は任せますです!!
→ 「夕日色に滲むひと」 Written by 桜雨澪鵺