なぜ、ここにいるの?
そう訊かれたら私は、わからない。そうこたえるだろう。
知らない間に私はここにいた。
憶えていないが、確かに違う世界に私はいたはずだった。
憶えていたのは名前だけ。
私の名前。
「」という名前しか私が知っていることはなかった。
どこにいるかはわからない。
けれど、私は今ここにいる。
水の、近く。
私がいるのはたぶん、水の近く。
水の音がするから、きっとそう。
確かめることは、今の私にはできないけど。
重くて、瞼が開かない。
身体も私の言うことを聞こうとしない。
意識以外、麻酔にかけられているような気分。
あ。
誰かが、近くにきたみたい。
そんな、足音というより音がする。
誰かはわからないけど、私の存在に気づくかどうかは知らない。
けれど、その誰かが私を拾ってくれそうな、気がする。
どうしてかは、わからないけど。
もちろん、根拠もない。
けれど。
これはたぶん、私の直感って奴かもしれない。
…少し、眠ろう。
意識だけ動く身体は疲れたみたい。
目は閉じてあるけど、私は目を閉じるような仕種をした。
次目覚める時は、行き倒れていないようにと少しだけ思って。
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*後書き...
こんな序章で良かったのでしょうか…?
最初から彩雲国にトリップしてます。
稚香様、こんなのですけどバトンタッチします。
それでは、また回ってきた時に。
→ はじまりのキオク Written by 宵宮織