「ところで、ルヴァイド様。こちらの娘をご存じなのですか?」 イオスの深紅の片眼が私の方へチラリと向けられる。 「ああ。どうやら俺たちは別の世界へ飛ばされてきたらしい。はこちらの世界の人間だ。 なんでも俺たちの世界でいう騎士の家柄に生まれた娘らしいが。」 あらら。意外に私の自己紹介、キチンと聞いてたのね。 何気に私が武家の娘だってことも覚えてたみたいだし。 「騎士の・・・・。なるほど、それで。」 待て待て、イオス。先に異世界に飛ばされたってところに反応しなさいよ。 「随分と腕っ節が強いようだが、何か武術の類でも習っているのか?」 「・・まあ、一応。昔からこの国に伝わる武術のほとんどは、習わされてますから。 ところで、イオスさんは異世界に来たってことに驚かないんですね。」 もっともと言えばもっともな問いを私はイオスに返した。 すると、彼はあっさりとしたもので。 「ここが今までいた場所じゃないことくらい、見ればわかる。 驚いたところで事態が好転するわけでもないんだ。驚くだけ無駄だろう。」 「さいですか・・・。」 なんていうか、さすが軍人。 冷静だねぇ・・・・。 「。イオスが見つかったところで、これからどうするつもりだ?」 「あぁ。はいはい。とりあえずみんなで私の家に帰ります。 早く帰らないと、ここで野宿することになりますから。 レシィくん、おいで。」 ルヴァイドの指摘で現在の状況を思い出した私は、レシィくんを手招きする。 彼はおそるおそるこちらへ近づいてきた。 「大丈夫よ。敵だからって、君をとって食べたりはしないんだから。」 「は、はい・・・。」 そしてレシィくんは持っていた槍を、イオスに差し出した。 「あの、助けてくれてありがとうございました・・。」 「ああ。」 それだけ言って、イオスはレシィくんから槍を受け取る。 う〜みゅ・・・、なんとかして仲直りしてもらいたいんだけどなぁ・・・。 でもレイム云々を暴露するわけにゃいかんわな。 『なんでそんなこと知ってるんだ?!』とか言われるのが、オチだし。 はあぁ・・・・・・。 「ああっ!!いた!がいたよ!!!!」 おおっ。トリス達だわ。 どうやら疲れは一時的に取れたみたいね。よかったよかった。 私たちの帰りが遅いもんだから、探しに来てくれたのね! 「ご主人さまぁ〜!!!!」 「レシィ!!よかった、無事だったんだ!!」 トリスの姿を見て一直線に駆け寄っていくレシィくん。 トリスはそんな彼をあたたかい笑顔で迎えて、ギュッと抱きしめる。 ああああっ、トリス&レシィくんをぎゅうぅぅっってしたい!!!(心の叫び) 私はすかさず携帯を取り出し、ズーム機能を駆使して二人を撮影する。 ふふふ・・・どんどん素敵写真が増えていくわ・・・・。 といえば。忘れてた。 うちの母さんとお祖母様と爺ちゃんに写メールを送らなくては。 母さんは私と同じく超絶美形(中性的な美形)に弱いから、イオスの写真を。 お祖母様はたしかインテリ系の美形好きだったわね。 じゃあ、標的はネスティで決まりだね。 コッソリと見つからないように、ネスティにカメラを合わせて写真を撮る。 それから爺ちゃんは、可愛い女の子好き。 となれば、ミニスとハサハで決まり!!! 再びこっそりと二人の写真を隠し撮りして、早速メールを送りつける! ・・・・てか、私のやってることってほとんどストーカー? 「さっきから百面相して、なにやってるんだよ?」 「うどわっ!いきなしおどかさないで下さいよ、フォルテさん!」 いきなし声をかけられて、思わず跳ね上がる私。 「ん〜、そんなに驚くってことは、なんか悪いことでもしてたんじゃないのか?」 「しっ、してないですよ!!これは・・・、これはその! 皆さんの長期滞在許可を家族に得る為に必要最低限の処置をしているまでで・・・・」 ついやましいところがないとも言えないので、しどろもどろになって答える。 わーっ、これじゃ自分から怪しいって言ってるのと同じじゃないか!!! しかし、フォルテはそれ以上追求したりはせず、 ただ頭をポンポンと叩いてくれただけ。 「なら、もっと堂々としてろよな。ネスティの旦那に見つかると厄介だ。」 あ・・・。 言われてみればそうだ。 危ない、危ない。 「・・・ありがとうございます、フォルテさん。」 少しだけ心が軽くなったような感覚を覚えながら、 私は家族宛にメールを送信した。 「それでは、これから家に帰ります!!えっと。皆さん、いいですか? この先、どんなに珍しいと思うことがあっても、けして声を上げたり、感心したりしないこと! 不審な目で見られると後々厄介ですので。 あと、私からはぐれないようにして下さい!!!」 集まってきた皆にそんな注意を促しつつ、ふと思った。 まるで遠足に行く生徒を指示するかのように、私は皆に注意の念押しをする。 そして、いざゆかん。 相鉄線乗り場へ!!!!! ・・にしても、サモンキャラたちを引き連れて相鉄線へと乗り込む私。 まるで保母さんか小学校の先生みたいだわ…(汗)。 *後書き・・・ ・はい。大変遅くなりまして申し訳ないです〜(*_*)。 ようやくイオスが出てきました。でも活躍してるのは、専らヒロイン。 私、イオス好きなんですよ? でもこんなになったのは、ひとえにヒロインの暴走が問題。 つぎはとりあえず、家に向かいます。その間の電車の中の話かな。 さてさて、つぎはどうなることやら。 期待せずに待て!!!! |