蛇足ながら、戦況について述べてみよう。
不良ども(5,6人)VSイオス、この勝負の行方はいかに?!

って、言うほどのもんでもないわね。
圧倒的にイオス有利な戦況だし。
あ〜あ、不良達も諦めて帰ればいいのに。
一度思いっきり殴り飛ばされてみないと、わかんないかしらね。

おおっ!私の携帯ちゃん、発見!!!
目標物を見つけた私は、まっしぐらにそこへ駆け込んでいく。

って・・・・待てコラ!!!!
見れば、不良の足が私の携帯を今にも踏みつけそうに・・・・・!!!!

「待たんか、われぇぃぃぃっっ!!!」


冗談じゃない。マイ携帯を踏みつけられてたまるか!
そんな思いがひしひしと伝わるような怒声と共に、間一髪で間に合った私はお馬鹿な不良に鉄拳制裁を加えた。
当然の処置ではあるけれど、携帯を踏みつけようとしてた不埒者の足をひっつかんで、そのまま一気に投げ飛ばしてやったのだ。
さりげなく関節に変な力が入るように小細工して(笑)。

「うっぎゃああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!痛えぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

ふっ、関節が極まったな。
レシィくんに暴力振るおうとした挙げ句、性懲りもなくイオスに戦い挑んで、その上私の携帯を踏みつぶそうとした罰よ、ば・つ♥

不良その1の大絶叫に、戦闘状態だった不良達とイオスがこちらを振り返る。
しかしそんなことは気にしないまま、私は携帯に傷が付いてないか確かめるとポケットにしまいこんだ。

「なっ、てめえ!なにしやがる!!」
ようやく私が不良その1をボコしたことに気づいたのだろう。
不良その2が私に向かって声を荒げる。
「ん?私の大切な携帯を踏みつぶそうとしたから、その罰。」
あっけらかんと言ってみせると、その2は一瞬沈黙した。
「へっ。大切な携帯ね。おおかた携帯にしか友達いねえんじゃねえの?」
その代わりに、私に向かってたわけたことをほざいてきたのは不良その3。
「失礼な。このなかにはね、TVでもそうそうお目にかかれないような超絶美形と超ミラクルプリチーな少年のナイスショットが入ってるから、大事なのよ。」
私が胸を張ってキッパリ言い張ると。

「なんだそれ、興味あるな。」
「見せろよ。」
なんにでも興味を示すお年頃な不良達が、早速興味を示してくる。
「見せるも何も、あんた達の目の前に現物がいるじゃない。」
そして再び、不良達は沈黙する。
「それって自分のこと言ってんじゃないだろうな・・・。」
「私はナルシストじゃないわよ。違うってば!
あんた達の目の前にいる金髪美形の美青年のことよ!!!」
そう言ってやると、彼らは一斉にイオスの方へ視線をやる。
そして…………、沈黙。
「・・・顔が綺麗なのは認めるけど、どう見たって女顔・・・・」
「誰が・・・ 」
「天誅っっっ!!!!!」

どごすっ!!!!!

イオスの声はかすかに怒気をはらんでいた。
多分彼も私と同じことしたかったんでしょうけど、ごめんね。
私もどうしても許せなかったから。

私の怒りの跳び蹴りをくらった不良その3が、ゆっくりと地面に沈んでいく。
そして私は、残りの不良達に向き直ると、ビシイッと指先を突きつけた。

「わかってないわね、あんたたち!!!!!
女顔=女装したときに美人さん=文句なしの美形って公式を知らないのね!!
それに中性的な美貌ってのは、神にも匹敵する超ミラクルハイソサエティな最上級の美貌も同然なのよ!!!!これのどこが超絶美形じゃないってのよ!!
自分たちの方が美形なんて言ったら、0.1秒でK.Oだからね!」


一同沈黙。
何よ、私の言ったことの何処が間違ってるのよ!!!!!
全て真実!!
夢見る腐女子の理想にして唯一の真実じゃないの!!!!(絶対違う)


「なんか、俺たち・・・すっげえへんな奴と関わっちまったみたいだな・・・。」
「ああ・・。もう帰ろうぜ。どうせ勝てっこないし・・・。」
「腹へったぁ・・・・。」
そんなたわいもないことを話しながら、不良達は去っていった。


・・・・・・・・・。
ペンは剣よりも強し。
ってことかしらね・・・・。
あ、さっき私が倒した不良、置いてかれてる・・・・。
友達甲斐のないやつらねぇ・・・。
さてと、そうすると私のやることは一つ。
地面にのびている不良をひっくり返し、その懐に手を突っ込んで・・・・。

「・・何をしているんだ?」
「ん。見ての通り。」
ごそごそと不良の懐を漁ってるところに、イオスから声をかけられる。
私はまんまの答えを返し、不良の懐に全意識を集中する。
と。
あったあった。
たかだか高校生だっていうのに、いやにパンパンにふくれたお財布が。
「高校生にこんなにお金はいらないわよね、没収。」
私はどっさり入った札の4,5枚をかすめ取り、財布を元の場所へ戻した。

「よし。これで電車賃分くらいはあるでしょ。」
「いいのか、あれをそのままにしておいて。」
イオスが言ってるのは、不良その1のことだろう。
私は手をパタパタと振って答える。
「いいのよ。あんなの助ける義理もないし。そもそもレシィくんを最初に襲ってたのは、あの馬鹿どもだし。自業自得よ。」
「・・・・・つくづく変わったやつだな・・・。」
イオスの表情は、不審そうな・・・というよりも呆れたようなものだった。
「・・・そういや、ルヴァイドさんにも同じこと言われたっけ。」
なんとなく思い出して、ポツリと呟くと。
いきなりガシッと肩を掴まれる。

ちょ、ちょっと・・・痛いんですけど・・・!

「ルヴァイド様を知っているのか?!」
「え・・あ、うん・・・。」
「今どこに・・・・」


「どうやら片づいたようだな。」

おおっ、ナイスタイミング!

一連の事件を傍観していた(賢明な判断だと思う)ルヴァイドが、一段落したところを見計らってこちらへやってきた。
「ルヴァイド様!!ご無事でしたか!」
「ああ。お前も無事なようで何よりだ、イオス。」

・・・・・・・。
いや・・・あの・・・。
一瞬、まじでルヴァ×イオの構図が頭の中に・・・・・。
だってさ。
イオスの表情が、ルヴァイドの姿を目にした途端に輝き出したのは、気のせい?
いや、そんなはずはない。
私はそれほどルヴァ×イオにはまってる人間じゃないけど、このCP好きな人がこの光景を見たら間違いなく奇声を上げてるよ?
美形さん同士で問題はナッシングなんだけどさ・・・・(すでに問題あり)
現実と想像の域というものは、また違うものでして。

よし。
今のイオスの表情は、顔見知りに会えた喜びの表情と解釈しておこう。
私の心の平穏のため、世界の誰がなんといおうと私が決めた。
今決めた。

 

 


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