それにしても一体全体何が起こってるのかしらね。
召喚術の存在しないはずの現実世界に、何故かサモンナイトキャラ達が召喚されてきてしまった。
それが単なる偶然なのか、用意された必然なのか。
今のところその質問に答えを出せるのは、運命の神様のみなのかもしれない。




とりあえずイオスを探すことで意見が一致した一同だったけど。
やっぱそう簡単には見つからないわね・・・・。
手分けして探すそうにも、なんせ私以外の全員がこのあたりの地理はおろかこの世界の常識さえ知らないのだ。うかつに人数を分けて、トラブル起こされてはたまらない。
そんなわけで、私たちはみんなしてゾロゾロ列を作って歩きながら、イオスを探しているのだが・・・。
全然収穫なし。
絶対にどこかで騒動起こしてると思ったのになぁ・・・。
特にイオスの場合、あの美貌からして周りがほっとかないだろうから。
って考えは、やっぱし甘かったかなぁ・・・?


「・・・全然、見あたらないわねぇ・・・。」
枝分かれしているいくつかの地下道のうち四つ目を探し終わった後、私は深い溜息を吐き出した。
「ちょっと、休まない?みんな、だいぶ疲れてるみたいだから」
「あ、ごめんなさい。そうですね、ちょっと休みましょう。」
ケイナお姉さまの声で私は後ろを振り返った。
慣れない場所をひたすら歩き回るのはいささかしんどい。
私にとってはこの辺りは馴染みの場所だし、体力のある男性陣はともかく。
ミニスやアメル、トリスたちには少々つらい。
休憩するというと彼女たちは、服が汚れるのも構わずにその場に座り込んでしまった。
ちなみに途中からマグナに抱かれていたハサハは、あまり疲れていないようだ。
マグナはぐったりと座り込んでしまった妹の顔を心配そうに覗き込む。
「大丈夫か、トリス?」
「う〜ん・・・ちょっとダメかも。」
へへへと笑ってみせるトリスに、ハサハも主人同様心配そうな表情を浮かべる。
「ミニスちゃん、大丈夫?」
「大丈夫じゃないけど・・。アメルこそ辛いんじゃないの?」
「大丈夫。ミニスちゃんこそ、あんまり無理しちゃダメだよ?」
そんな会話を続けるアメルの頭に優しく手が置かれる。
「アメルこそ、あんまり無理するんじゃないぞ。」
「うん、わかってる。でも、私大丈夫だよ、ロッカ。」
アメルはそう言って微笑んでみせる。
でもそれは無理をしているとたやすくわかるもので。
「アメル・・・」
「無理に笑うな。」
リューグがぶっきらぼうに呟く。

早くどこかで休ませてあげないと・・・。
それ以前に彼女たちのこと、もっと気遣うべきだったのにね。
ホント、なんて気の利かない女だ、私は。
だいたい私の家はここから結構遠いんだ。
必要以上に歩かせて、みんなを疲れさせてどうするんだよ。全く。
私は情けなくて皆に気づかれないように、溜息を漏らした。
「しかし、お前さんは元気だな。」
ふと頭に手が置かれた。
上を仰ごうとすれば、フォルテに頭をぐりぐりと撫でられた。
気、使ってくれてるのかな?
「ここは私の地元ですからね。」
「ま、そりゃそうだな。」
そうやって彼と話してて、少しだけ気が晴れた。
やっぱり私も少し疲れてたのかもしれない。バイト終わった後だしね。
「ケイナさん、フォルテさん、ここでちょっとみんなのこと見ててもらえます?」
ケイナお姉さまは私の言葉に怪訝そうな表情を見せる。
「いいけど・・・あなたはどうするの、らりさ?」
「もう少し探します。」
「なら、私も行くわ。まだ疲れていないもの。」
折角の申し出だったけど、私は首を横に振った。
「ケイナさんはここでみんなのこと、見ててあげてください。その方がトリス達も安心できると思うから。」
「でも・・。」
何かを言いかけるケイナお姉さまの言葉をフォルテが遮った。
「わかった。ここは俺たちに任せてお前は行ってこい。」
「ありがとう、フォルテさん。それじゃ、少し待ってて。」
私は鞄をケイナお姉さまに預けると、その場に立ち上がる。
と。
「俺も行こう。」
それまで沈黙を保っていたルヴァイドが口を開いた。
「え・・・でも・・。疲れてるんじゃ・・」
「あれだけの距離を歩いたくらいで疲れはしない。そもそも、お前はイオスの顔を知らないだろう。なのにどうやってあいつを捜すつもりだ?」
「あ・・・・。」
ルヴァイドの的確な問いかけに、私は思い出していた。
一応私はイオスを知らないことになってるんだっけ。
なのに、彼の顔を知ってたらおかしいもんね。
「言われてみればそうだ。一体どうするつもりだったんだ?」
う・・・。
フォルテのつっこみに一瞬戸惑う私だが、すぐに平静を装った。
「いや、多分見た目ですぐわかると思ったんですけど・・。」
「・・・そうね。だいぶ服装も違うみたいだから・・。」
それになんていっても金髪美形だし。(関係ない)
「それじゃ、一緒に来て頂いていいですか、ルヴァイドさん。」
「ああ。」
・・・ふふふ、ラッキー。
私は思わずに胸中でにたついてた。
それに果たして誰が気づいただろう。いや気づくまい。

 


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