ちなみに他の皆々様はあまりいい顔をしていなかった。 特にレルムの村コンビは。 ま、仕方ないんだけどね。 景気づけに手を叩いて、私は話を進めることにした。 「えっと、とりあえず自己紹介がまだだったわよね。 私は、。は名字で、名前はよ。OK?」 「名字を持ってるということは、君は貴族・・・なのか?」 予想していた通りの答えがネスティから返ってくる。 しかし、その間はなんだ! 「違う違う。ま、遡れば、私の家は武家の家柄だけどね。」 そうなのよ。嘘だろうと思うだろうけど、これはホント。 その証拠にうちの家族は、皆武芸達者な奴らばかりよ。 かくいう私も、剣道と空手は段持ちだし。エッヘン。 「武家ってなあに?」 「そうねぇ・・あなた達でいうところの、騎士の家柄って事かしらね。」 ミニスをお持ち帰りしたい衝動を抑えて(変態だな)、私は説明してやる。 「それじゃあ、今度は私たちの番ね。私はトリス。 隣にいるのが、お兄ちゃんのマグナよ。」 トリスの横にいたマグナも紹介されて、ぺこりと頭を下げる。 はにゃあぁぁぁ・・・、なんてほのぼの癒し系な兄妹かしらぁ・・・。 「蒼の派閥の召喚師、ネスティ=バスクだ。」 うわぁ・・、警戒心バリバリだねぇ・・・。 ま、ネスらしいと言えばそこまでだけど。 「私はケイナよ。それでこっちが・・」 「フォルテだ、宜しくな。」 ケイナお姉さまとフォルテお兄様。バッチリ覚えてますとも。 夫婦漫才、そのうち見せて下さいな。 「私はミニス=マーン。それから・・」 不意にミニスの手元が光る。 すると、突如何もなかった空間に一匹の大きなワイバーンが現れた。 って・・・召喚術をいきなり使うんじゃない!! 「この子がシルヴァーナ。私の友達よ。」 「・・・わかったから、とりあえずその子を元に戻して・・。 誰かに見られたら、速攻で見せ物小屋行きよ。」 「えっ!・・うん、わかった。」 ミニスは慌ててシルヴァーナを元の世界へ返す。 「私はアメルです。」 「僕はロッカ、でこっちが弟のリューグです。」 「・・・。」 アメルはやっぱり思った通りの可憐な少女だわねぇ・・・。 ネットの中じゃ、最強邪悪な聖女様として書かれてることもあったけど。 で、ロッカもとりあえず優しそうな笑顔の似合うお兄さん系で、 リューグはぶっきらぼうだけど心の中は熱血くんね。(勝手に想像) 私がリューグの隣に座る人へ視線を向けると、 その子は何を思ったのか立ち上がってトコトコとこちらへ歩いてくる。 「あ、ハサハ・・」 マグナが彼女の名を呼んだところを見ると、彼の護衛獣なんでしょうね、多分。 あぁ・・こんなラブリィハサハが護衛獣だなんて、うらやましすぎるぞマグナ!!! 「・・おねえちゃん・・・」 「あなたはハサハね。・・・ねえ、抱っこしてもいい?」 「・・・(こくん)・・・。」 にょおおおお、OKですか?! 私はおそるおそるハサハに手を伸ばして、彼女の小さな身体を抱き込んだ。 「にゃあぁぁぁぁ、ハサハラブリィ〜!!その耳と着物が萌えなのよぉぉぉ〜!!」 ギュウゥゥゥゥゥゥゥッと抱き込んで、私は思わず心の声を音に出していた。 だって、感激したんだもん!!! 「・・・、そのくらいにしておきなさい。話が先へ進まないわ。」 ケイナお姉さまの声で、私は渋々ハサハを解放した。 そして左隣に座る黒騎士に声をかける。 「はい、次は貴方の番よ。」 「・・・ルヴァイドだ。」 実に簡潔なお答えです、はい。 あ、でも一つ訊いておかなきゃ。 「ねえ、ルヴァイドさん。つかぬ事をお聞きしますけど、貴方の部下の方はこちらに来ていないんですか?」 「部下・・?来ているかもしれんが、見ていない。それがどうかしたのか?」 「いえね、彼がいるといないとでは あなた方の今後の身の振りが変わるモンですから・・。」 そうなのよね・・。 イオスがいてくれれば、ほぼ100%居候OK出るんだろうけど、 そうでないとわからないからなぁ・・。 「で、。ハッキリしておきたいことがある。」 「あなた達がここへ飛ばされた理由、でしょ?」 「ああ。君に心当たりはないのか?」 ネスティの言葉に、私は首を振った。 「残念だけど、この世界では『異世界』の存在はおとぎ話の中だけしか信じられていないのよ。召喚術も魔法も魔術も存在しない世界だから。 そもそも私も疑問なのよ。どうしてあなた達がここへ来られたのかってこと。」 「じゃあ、どうすれば元の世界に変えることが出来るんだ?」 「わからないわ。さっきも言ったけど、魔術の類は使えない世界だから。かといって、異世界の存在を端から否定してる科学技術では、そんなことできっこないでしょうしね。」 やっぱりな、と頭を掻くフォルテに向かって、私は一応こう付け足しておいた。 「ただし、絶対に帰れないとは言えないわね。そもそもあなた達がここへ来たことだって、奇跡なんだから、また奇跡が起こって帰れるわよ。」 「その奇跡って、いつ起こるの?」 もっともなトリスの問いに、私は視線をあさっての方へ逸らしつつ答えた。 「ん〜・・・、たいていのパターンだと何か使命みたいなものがあって、それをクリアすれば帰れるっていうのが一般なんだけど・・・。」 ま、あくまで物語の中の話だからねぇ・・・。 「まぁ、こうなっちまったモンは仕方ねぇだろ。」 「確かに。ここで議論をしていても帰れる訳じゃないからな。」 フォルテの楽観的な発言とネスティの現実的な発言が後押ししたのかは知らないが。 「うん。ネスの言う通りだね。」 「とりあえずこの先をどうするか、考える方が先ね。」 トリスが言い、ケイナお姉さまが言い・・とにかくそれで勢いがついたのか、悲観的になる人はとりあえずいなさそう。 うん、いいことよね。前向きに考えられるのは。 「よし!皆さん前向きになってくれてるみたいだし、ご褒美としてうちに長期無料で滞在することを許すわ!!」 「えっ、ホントに?!」 「でも、ご迷惑じゃ・・・」 遠慮するアメルに、私は裏のない笑顔で微笑む。 「大丈夫よ。『袖振り合うも他生の縁』っていうくらいだし。 ・・家族の許可がでればだけどね。そのためにもルヴァイドさんの部下をGETしていかないといけないんです!!というわけで、皆さんもご協力お願いしますね。」 私がそう言うと、皆は不思議そうな顔をする。 「なんで黒騎士の旦那の部下がいると、家族の許可がいられるんだ?」 代表して質問してきたフォルテに、私はあっさりと告げた。 「決まってるじゃないですか。うちの家族、みんな面食いなんですよ。」 その言葉に一同呆然となる。 しかしそのなかでどういうわけか、フォルテだけは納得したように頷いていた。 なんで? 「・・・と、とにかくみんなでイオスを探せばいいのね、さん。」 「まあそういうこと。あと、私は呼び捨てでいいわよ、トリス。」 そんなわけで。 私たちはとりあえず一緒にこちらへ来ているはずのイオスを探すことで、意見が一致したのである。 でもまぁ・・、すぐ見つかりそうな気がするけどね。 何か騒ぎの起きているところをしらみつぶしに探せば、そのうち見つかるでしょうね。 そういえば、護衛獣ってハサハだけなのかしらね? ハサハがマグナの護衛獣なら、トリスの護衛獣がいてもいいはずなのに。 う〜みゅ、謎だ・・・。 *後書き・・・ ・はい、自己紹介がとりあえず終わりました。 そしていよいよイオス隊長の捜索が始まるわけです。 さあて、これから先書くのがますます楽しみだわぁ・・・。 何故かって、それは勿論個人的趣味による。 ではでは、ここまで呼んで下さった様に感謝です!! |