「ゲホォッ、ゲホッ!」
辺りに舞い上がる砂埃にむせながら、私は必死で回りの状況を確認する。

とにかく誰も来てませんように。

心底願いながら立ち上がった私の耳に再び届いたのは、聞き覚えのありすぎる素敵な声(複数)だった。

『やりすぎだ、ミニス。』
『ご、ごめんなさい・・』
『まあまあ、ネスティさん。
ミニスちゃんだって、悪気があったワケじゃないんですし。』
『そうそう。アメルの言うとおりだってば。』


・・・・・・。
あぁ・・私の耳ってば、ついにぶっ壊れたワケかしら・・・。
それとも幻聴となるくらい、ゲームやってたって事???


思わず私は目眩を覚えて、後ろに倒れ込んだ。

・・・・・・あれ?

ところが倒れ込んだはずの私の上体は、床についていない。
それに、私の身体が倒れてないのって誰かが支えてくれてるからじゃ・・?
だいぶまわりの空気も粉っぽさをなくしていたから、もう目を開けても大丈夫だろう。

そう思って目を開けて・・・・・。



開いた口が塞がらないというのは、まさにこの状況。
目の前にいたのは、麗しい黒髪美人のお姉さまだ。巫女装束を思わせるような赤と白を基調とした着物を纏い、その手に持ってるのは・・・・弓ですか?

「大丈夫?」

あぁ、これはきっと夢だわ。
じゃなきゃ、憧れのケイナお姉さまに声をかけてもらえるなんてことあり得ない。

「ちょっとあなた達、喧嘩してる場合じゃないでしょ?」
「仲がいいのは構わんが、怪我人放ったらかしはよくないだろ。」
私を見下ろしてくるのは若草色の髪のお兄さんだ。
あぁ・・また、見覚えあるしさ。
というより、ケイナお姉さまがいるならフォルテがいないわけがないか。
どうやらこの人が私を支えてくれてるらしい。

「目、覚ましたみたいだ。ねえ、君。大丈夫?どこか怪我はない?」
私に話しかけてきたのは、藍色の髪と同色の瞳持つ少年だった。

・・・もう、何を見ても驚かないわよ、私は・・。
トリスとマグナが一緒に存在してるはずがないのに二人がいても驚くものか。

そして彼の隣には、うさぎ耳を生やした着物姿の女の子が佇んでいる。

はにゃぁぁ〜ん、ハサハ、超ラブリ〜!!!!!


「とりあえず、今は一時休戦でしょうね。」
「・・ちっ。」
「・・やむを得まい。」
そして同じような容姿を持つ二人の少年と、一人の青年の声が聞こえてくる。

うおぉっ?
レルムの村双子の赤青コンビはともかく(コラ)、あちらにおわす乙女殺しヴォイスな素敵な騎士様は・・・・!!

いやぁぁぁ〜、黒騎士様だ!ルヴァイド様だよぉ〜!!!

ということは、乙女顔負けな麗しい美貌の隊長様も機械兵士くんもいるわけ?!
あぁ、こんな素敵な夢なら永遠に見ていたい!!!
つーか、覚めるな夢!


「・・・なんか、元気そうだぞ。このお嬢ちゃん・・・・。」
はたと気づけば、フォルテが変なものを見るような目で私を見ている。

あらやだ。心の中でだけ萌えてたつもりなのに、顔に出てたか?

「ええ、元気ですよ。あやうく『ひまわりチェーンソー』に首刈られそうになったし、続く爆発で吹っ飛ばされかけましたけど。日頃の行いの賜物で何とか生きてます。」
極力顔に表情が出るのは押さえてるつもりなんだけど、だめだ。
どうしても顔がにやけてしまうわ・・・。

「・・・・・・。君は、一体何者なんだ?」
綺麗な顔を引きつらせながら、ネスティが私に問いかけてくる。
「私から言わせれば、あなた達何者ですか?と訊きたいですね。
でも、まあどうせこの世界の人じゃなさそうだし。
きっと私はあなた達を導くために引き合わされたに違いないわ!」
「・・・・・この世界じゃ、ない??」
「どういうこと?」
「まんまの意味ですよ。ここはあなた達のいた世界とは違う世界。剣とか銃とか槍とかをカバーもせずに持ち歩いていたら、速攻逮捕されるっていう世界よ。」

私のこの言葉に面々は目を見張った。

そうなのよ。ここは剣とか銃とか使ったら捕まる世界だもんね。
召喚術使ったのを見られた日には、間違いなく見せ物小屋行きでしょう。

「ま、詳しいことは後でゆっくり話しましょう。
とりあえず、今はここから逃げるのよ!」
私はスックと立ち上がると、側にいたマグナとハサハの手をひっつかんで駆けだした。

とりあえずあの場を離れてないと、
後でシャッターを壊した責任を取らされるかもしれないしね。
そんなのまっぴらごめんだわ。

なので、とりあえず私は逃げます。
他の人たちもちゃんと着いてきてくれてるみたいね。よし。

それにしても。何か面白くなりそうな予感がするわぁ〜・・。
、今とってもワクワクしております。





*後書き・・
・パラレル第2弾!サモナイキャラとヒロインが出会います!
そしてようやく名前変換の意味ができました。
それにしても思った以上に長くなったな。
そして話の展開が当初とずれていくような・・・
気がするのは気のせいではないはず。
読んで下さった様に心から感謝いたします!!


 

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