風を読む力 星を読む力

     森羅万象に様々な力が存在するだろうけど

     最も忌むべき力は

     全てを読んでしまう力だと

     私は思う

     この、人の心さえ読んでしまう『読心』の力




 紅き姫と市にて遭遇す



 私、 と申します。歳はこの夏を過ぎたら15になります。
両親も8年前の影響で亡くなってしまい、孤児となってしまった私を恐れ多くも、本家の方である次期宰相候補と名高い黄 奇人様に拾われて住み込みの奉公人をさせて頂いてます。

 奇人様は、私の持っている能力を恐れなかった御仁で、言葉に出来ないほど感謝しております。今では、この能力が接触によって読んでしまうので、知らない方とは触れ合わないように気を付けてますが、彩八家の本家の方に拾われ、そして能力を指導してくださり、私は、一生分の幸運を使い切ってしまったと思います。


 今日は、仕事の方も一段落したため、
奇人様が帰ってくるので、材料の仕入れに来たのです!

 頑張ります!



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 今日は日払いの賃仕事が入ったから、夕食はいつもよりも豪勢に作ろう!と、秀麗は少し(かなり?)意気込んで夕方市に来た。
 いつも御贔屓にさせてもらっている八百屋を覘いて何を作ろうかと悩んで立ち止まっているところに、自分より少し年下の少女がテテテ・・・・と、小動物のような動作で自分の隣に近寄ってきて、同じ様に野菜を見ている。

 秀麗は隣にいる少女を、失礼にならない程度に視線を投げる。
 簡素で作業的な装い。髪の毛も邪魔にならない様に、けれど綺麗に結い上げている。
服装も華美ではなく、柔らかく穏やかな雰囲気を纏いつつも清楚に暖色系の雪消水(ゆきげみず)色でまとめているが、彼女のやや幼い顔立ちの所為だろうか、実年齢より下に見える。

 引き付け、匂い立つような美人!というわけでもない。
むしろ、陽だまりで昼寝を貪る子猫のような小動物系を思わせる、
大きくパッチリとした唐紅色のどんぐりの様な瞳で化粧はしていないらしい。
前髪と両脇の髪を少し垂らし、残りの髪の毛は高めに結い上げている海老茶色の髪。

(ずいぶんと可愛い女の子…ああいう子を“女の子”っていうのよね)

 秀麗は平凡的な顔立ちである事を重々承知している。
だからか、ああいう可愛らしい

(まぁ…私は私だし……それにしてもあの子、随分と真剣に野菜を眺めてるわね)

 どうやら此処の八百屋の主人も何かを感じたらしく、彼女に声をかけた。
「お嬢ちゃん、お使いかい? 随分と真剣に見ているけど」

「はい。今夜はご主人様が久しぶりに帰って来るので、料理人の方が腕によりをかけて美味しい菜を作るって意気込んでおられるので。出来るだけ、旬の野菜が欲しくて………」


((ご、ご主人様っ!?))


 おそらく、秀麗と八百屋の主人に何らかの衝撃が走ったのだろう。
2人とも硬直している。
 が、其れに気付かずに真剣に野菜を見定めている。

 「おやっさん。こちらの…………」

 秀麗は彼女が選び抜いた野菜の量に驚き、思わず仕事を終えた静蘭に手伝いを頼んでしまった。



     □■□            □■□            □■□


「申し訳御座いません、静蘭様。お時間を取らせてしまって…」

 静蘭は隣にいるに顔を向けて、思わず幼子に向けるような内容の言葉を紡ぐ。
「このくらい構いませんよ。
それより、こんなにいっぱい買うなら誰かに付いて来てもらった方が良かったのでは?」

「今日は申(さる)の上刻に邸と出て来たんです。
そして、空いている方が下刻に迎えに来て下さるんです」

「なるほど。が戻る道すがらに他の方が来るんですね」

「そうです」

 は「自分は下町の出身で年下だから敬語でなくて構わない」と申し出たので、静蘭は彼女の事を呼び捨てで呼んでいる。
 静蘭は、彼女の小動物を髣髴させるしぐさに、どうしても幼子に対しての態度を取ってしまう自分に対して苦笑してしまう。

 と、その時。
 遠くの方から彼女の名前を呼ぶ声が聞こえたので、そろそろ戻る旨を伝える。

「では、。迎えの方も来た様なので、そろそろ失礼しますね」

「わかりました。静蘭様、此処まで運んで頂き有難う御座いました」
 深々と頭を下げてお辞儀をするの姿は、子栗鼠が頭を下げる様で、思わず頭を「いい子いい子」と撫でてしまった。

「っ!! 次からは買い込むのも程々にしましょうね」
 小言を言い逃げのように言っての前から去ったが、静蘭はに対して小動物を愛でる様な態度を取ってしまった事に後悔していた。

 まぁ…市で会えたら謝ろう。と思い直して、邸へ戻る。



 これが、読心の娘との初見であった。



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(作中用語解説)
 申(さる)の上刻→15時の事
 〃 の下刻→16時の事



*後書き...
すみません(土下座)。ヒロインとキャラ達の会話が出来ませんでした!!
第三者視点でしたが、特殊能力はまだ使ってません。
るる様、是非ヒロインの特殊能力の描写を書いて下さいませ!
ヒロインの能力を生かせるキャラといったら奇人様しかいなかったので、
黄家の傍流の出にさせていただきました。姫ではありませんよ。
望めば姫になれるのに望まなかった事にして下さい。
文才が無いので上手く書けませんでした(土下座)



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