いつもながらにして、この男の言い分は唐突だ。 「、悪いがしばらくの間、私の養い子の面倒を見て欲しい」 珍しくも藍邸へ押しかけてきたかと思えば、いきなり最初の第一声がこれである。 いかに彼の性癖を知っているといえども、この行き当たりばったりな……というより勝手に一人で自己完結しているような雰囲気すらあるこの言葉に対して、一瞬返す言葉を失ってしまったのは無理もない事だろう。 しかし、それでもやはり長年の付き合いゆえに耐性もそれなりについていたのか。 はすぐに気を持ち直すと、開いたままになっていた口をなんとか閉め直した。そうしてどうにか、彼との会話を続けるために必要な言葉を絞り出す事に成功する。 「黎深。いきなりひとん家に押しかけてきて何かと思えば、絳攸の面倒を見て欲しいって一体どういうことよ? 」 ご自慢の長い黒髪を指で弄びながら、興味半分・面倒だと思う気持ちとが半分ずつ共存する中で、は疲れたような表情を浮かべる事でその心うちを見事に隠し通す。おそらく端から見れば、ただ興味本位に首を突っ込んでくる娘としか見えないだろう。だがその実は、心の中で目の前の男に対して舌打ちまでいたりする。そうでもしなければ、この男――紅黎深とまともに友人などやっておられないのだ。 が聞き返すと、黎深はわずかに表情を歪めてみせる。 彼の彫りの深い容貌は整っているものの、同時にきつい印象を見る者に与える。 そのため黎深には、不敵な表情や冷笑が驚くほどによく似合う。 「不本意だが、うちの馬鹿上司の命で仕方なく地方へしばらく出張することになった」 まこともって不本意そうな声音で白状した黎深の言葉は、同時にどことなく恨めしげでもあった。 「……………それってつまり、謹慎言い渡されたってことじゃないの? 」 聞き返すまでもなく、目の前の男は“謹慎を言い渡された”に決まっている。 それを知っていたけれど、やはり確認せずにはおられなくて。無駄だと知りつつも、は黎深に対して質問を重ねた。 「言い方を変えれば、そうとも言うな」 そして対する黎深の答えは、が予想していたものと一字一句たりとも変わらなかった。 「………そんな態度だから、しょっちゅう謹慎言い渡されるのよ」 黎深はそうあってこそ黎深たり得るのだと知ってはいるのだが、は思わず忠告せずにはおられなかった。 王家に連なる権力を持つ彩七家の筆頭と謳われる藍家と並び立つ家柄である紅家直系の血筋であること、彼が現紅家当主であるという身分を差し引いても、黎深の持つ才は明らかに突出していた。そして今現在のポストは彼にとって分不相応、とどのつまりは“才能を地に埋もれさせておくのも同然”な役職であると知っている。 知ってはいるけれど、やはり物には限度というものがあるわけで。 一月に一回は謹慎処分を言い渡されるというのも、いかがなものだろう。 もっとも。兄・邵可を追いかけて貴陽まで来て、これまた邵可の側にいたいという理由から仕方なく官吏勤めをするようになった黎深だ。そんな彼に「真面目に官吏として働け」という方がもとより無駄な努力ではあるのだが、あいにくとその辺りの事情を知っている人間が限りなく少ない。 その上黎深は間が悪い上に、一言も二言も言葉が多い。彼が必要以上に謹慎処分にさせられるのも、彼の上司が彼の言葉の裏を汲み取れるほどの才の持ち主ではなかった事だけでなく、案外とその辺りにも原因があるのかも知れない。 「それではなんだ。 お前は私に向かって、あの無能上司にへいこらと頭を下げてみろとでも言うのか」 歯切れの良い音をさせて愛用の扇を広げた黎深は、皮肉気に歪めた口元を扇で隠し、あっけらかんと言い放つ。 そのようにしていると、どういうわけか現国王よりもよほど王らしく見える。まだ年若い国王に統治者としての威厳を求めるのも酷であろうが、逆を言えばいかに黎深が人の上に立つにふさわしい資質と風格を持ち合わせているかがわかる。 そんな友人の姿を眺めながら、は全く無自覚のままで穏やかな微笑みを浮かべた。 なんだかんだ言っても彼女は、黎深とこうして話すのが好きなのだ。 回りくどい言い方をする事が多いものの、本質的に彼は嘘を吐く事がない。いかに彼が性質の悪いーー言い換えれば性格が悪いーー帝王気質の人間であろうと、黎深の本質は彼女の溺愛する弟とどこか似通う点がある。 その上、の弟・龍蓮は国中を放浪しているので、姉である彼女とも顔を合わせる機会が極端に少ないのだ。会いたくても会えないその寂しさを、彼女は黎深との会話で紛らわせている節すらあった。 もっとも、そのことを黎深が知ったら、けして良い顔はしないだろうが。 「誰も天上天下唯我独尊なあんたに、そんな末恐ろしい事は頼まないわよ。 あとでその無能上司がどうなるか、目に見えてわかるだけに余計にね」 は目の前にいる友人の手から扇を奪い取ると、身を乗り出して彼の顔を覗き込む。 彼女が浮かべる表情は、実に不敵なそれだ。 黎深はそんな彼女から扇を奪い返すと、空いた方の手での長い髪を一房すくう。 そうしてごく自然な動作で、その一房に唇を触れさせた。浮かべる表情は、なんとはなしに不敵でありながらも、かすかに“喜”の感情も見てとれる。 「当然だ。この私に頭を下げさせた無能上司には、それ相応の報いを受けてもらう。 お前とて、自分より遙かに無能かつ生きてる価値もないような阿呆上司に頭を下げたいなどと思いはしないだろう。鳳珠や悠舜とて、それは同じことだろうに」 「まあ、否定はしない。だけどね、あんたみたいに後で無駄な殺生しようとまでは思わない。 私は基本的に弟たちの悪口さえ言われなければ、あとはどうなろうと構わないし。 鳳珠や悠舜は、あんたよか遙かに普通の常識人だからそんなことしないわよ」 「随分な言われようだな」 「普段からそう言われてもおかしくない事ばかりしてるからよ。自業自得ね」 紺壁の色彩を宿す双眸で真っ直ぐに自身の瞳を覗き込まれた上に、迷うことなくきっぱりと言い放たれたその言葉と。なまじ彼女の言葉が事実である事を自覚しているだけに、さすがの黎深もほんの一瞬ばかり言葉をなくした。 「………まあそれはともかく、絳攸の件だが……」 さりげなく視線を逸らし、相も変わらず扇で口元を隠したままで。黎深は軽く咳払いをすると、さっさと話題を転換した。他の人間ならいざ知らず、相手にこれ以上シラを切れるとは露とも思っていなかったからだ。 「良いわよ、別に。個人的にあの子は気に入ってるし、存分に可愛がってあげるから心配いらないわ。だからどうぞ、安心して謹慎して頂戴ね♪ 」 「…相変わらず絳攸のことは気に入っているようだな。少し妬けるぞ」 過去にに求婚して断られていながらも、黎深は未だに時折このような言葉遊びを仕掛けてくる。自身の見立てとしては、ただ単に自分をからかう目的しかないのだろうとは思っているものの。相手が相手だけに本気なのか遊びなのか、皆目見当もつかないのが厄介である。 しかも今回に限り、黎深が仕掛けてきたのは言葉遊びだけではなかった。 彼はすぐ隣に座っていたの腰を引き寄せると、しっかりと抱きかかえたのである。 それは唐突のことだったから、当然は自分の置かれた状況が理解出来ていない。その隙を逃さず、彼は実に自然な動作で顔を寄せてくる。もしあと一瞬でも対応が遅ければ、は否応なしに唇を奪われていた事だろう。 だがあいにくとには、女性経験豊富な実弟・藍楸瑛の存在があった。彼もまた時折、こうしてからかい半分・お遊び半分で迫ってくる事があったから、この手のことにはすっかりと免疫が出来てしまっていたのだ。 その免疫力をフル活用して、はギリギリのところで黎深の扇を再び奪い返し、広げた扇の全面で彼の顔面を思い切りはたいてやった。 「妻帯者のくせして、阿呆なことをしでかすんじゃない」 「……では、妻がいなければいくらでも迫って構わないという事か」 「ど阿呆。あんまり馬鹿な事言ってると、あんたの大事な大事な秀麗姫に“貴女の叔父さんは、女癖の悪い最低男だ”って吹き込んでやるわよ? 」 「………っな! 卑怯だぞ、! 私が秀麗に名乗れなくて、早幾年。悪印象を持たれないように、出来るだけ好印象を持たれるように、と影でいろいろと画策しているというのに。 それをあっさりとぶち壊すつもりか!! 」 (影で画策する暇があるなら、さっさと秀麗姫の前に名乗り出ればいいのに) 類い希な才を持つ黎深だが、兄一家のことになると途端に大馬鹿者に成り下がる。 それを充分に知っているはずのでさえ、今の黎深の言葉には呆れ果てずにはおられなかった。心の中で思わず呟いてしまったが、彼女と同じ呟きを過去一体何人の人間が呟いた事だろう。 少なくとも鳳珠や悠舜、絳攸、そして秀麗の父である邵可あたりは過去一度くらいは呟いたことがあるに違いない。 「へぇ…、とりあえず自分が女癖の悪い最低男ってことは自覚してるみたいね」 「誰がだ。女癖が悪いというのは、私ではなく藍楸瑛のような男のことを言うのだ」 「……………失礼な。 楸瑛は来る人拒まずだから自然とそうなるだけで、別に女癖が悪いワケじゃあないわよ」 もしこのの言葉を楸瑛当人が耳にしたならば、間違いなく自分の耳の性能を疑う事だろう。なにせは、彼の女性関係の華々しさに対して、散々悪口雑言を撒き散らしているのだ。他人からの中傷に乗ってさらなる罵詈雑言を叩きつけることは想像するに容易いが、まさか自分を庇護してくれるなどとは思いも寄らない事だろう。 「相変わらずお前は弟馬鹿だな」 理解できんと言わんばかりの表情でもって、黎深は吐き捨てる。彼自身には及ばぬものの、世間一般では充分に“有能”に値する才を持つ弟によって、なりたくもなかった紅家当主に担ぎ上げられて今に至る黎深。そのことを未だ根に持っているのか。兄には惜しみない愛情を注ぎ、弟には限りない嫌悪の情をもって接する。全くもってずいぶんと両極端な対応の仕方である。 尤も、黎深が弟ー玖琅を良く思わないのは、殊に子供を喜ばせたりする優しさというものがいささか欠けている彼よりも、子供心をさりげなく心得ている玖琅の方が姪っ子に懐かれている節がある為だ。要するにある一種の焼き餅を焼いているだけのことなのである。 「そういうあんたは兄・姪馬鹿でしょ」 対するも、黎深とさほど変わらぬ口調で吐き捨てる。黎深が兄を溺愛する如く弟たちを溺愛するは、その反面で、実の兄たちには情け容赦のない辛辣な毒舌を吐き出す一面も持つ。その上、言う事をきかない(いくら説教しても堪えない)兄たちへ、愛用の鉄尺を容赦なくビシビシと当てることも平気でする。 弟を溺愛し、兄を折檻するとはーーーー黎深とまるで対照的な対応の仕方である。 だが当の兄たちは、なんだかんだ言って異母妹のことが気に入っているらしく、むげに扱われても一向に気にしていないらしい。 それどころか、兄付きの侍女から又聞きした情報によると『はあの通りのお転婆娘だから、素直に愛情を示すのが苦手なだけだ。可愛い異母妹の愛の鞭なら、喜んで受けよう』などとほざいているらしい。いや、本当に。 「それはともかく、絳攸の事は頼んだぞ。 それからわかっているとは思うが、くれぐれも勉学以外の余計な手出しは無用だ」 邵可とはまた別枠で気に入っているらしい養い子のことを頼む黎深の表情は、珍しくも人並みの親らしいものだった。彼の表情に思わず呆気にとられるだが、続いて付け加えられた言葉に反応して、苦虫を噛みつぶしたような色を顔に浮かべる。 「そんな風に言われると逆に手出ししてみたくなるわね。 絳攸は貴方と違って素直だし、純粋だし、からかって面白いことは確かだけど。 大丈夫よ、結果的に将来有望な青年を潰すようなことはしないから。 第一、黎深自らが彼に勉学を叩き込んでるんでしょう? 私が見てあげる必要もないと思うんだけど 」 「確かにそうかもしれないが、同時にあれは向上心も人一倍大きいからな。 何か聞きたいことがあったとき、そばに私がいなければ何かと不便だろう」 「………その優しさをもう少し、絳攸の前でも見せてあげればいいのにねぇ」 そう言っては、にんまりと何か言いたそうな笑みを浮かべる。 そんな彼女の視線は当然の事ながら、真っ直ぐに黎深へと注がれている。 「……用事は済んだからな。私はもう帰るぞ」 黎深はの視線から逃れるように、着物の裾を払ってその場に立ち上がった。 「じゃあ絳攸のことは任せて、どうぞ出張先でゆっくりして来て頂戴」 「……愚問だな。私が向こうであくせくと汗水垂らして働くとでも思うか? 」 「思わないわよ。あんたのことだから、また適当にさぼって適当に仕事するんでしょ」 口の端を笑みの形に歪めて、もまた着物の裾を払って立ち上がる。 「しばらくは、お前とも会えなくなるな」 「そうね。でもそれは私にじゃなくて、百合姫に言うべき言葉でしょう? 」 「あれには言葉で言わなくてもわかる」 妙に自信たっぷりに言い切る黎深だが、確かにその通りだろう。 間が悪い上に言葉の少ない、この天上天下唯我独尊我が儘大魔王の妻を務めているのだから、そのくらいの特殊能力は備えていて当然である。 「なるほど。で、その先は何? 」 「どうせ会えないといっても、たかが一ヶ月程度のことだ。寂しがる必要もない」 「別に寂しがってるつもりはないんですけどね。 黎深がいなくても、鳳珠も悠舜もこっちにいるわけだし」 「……………」 があっさりと言い放つと、黎深はなんとも複雑な表情を浮かべる。 しいてそれを言葉にするならば、憮然としているというべきだろうか。 「それともなに? もしかして、黎深の方が私に会えなくて寂しいわけ? 」 「これから一人寂しく僻地に飛ばされる友人に対して、もう少し気の利いた言葉は言えないのか、お前は」 「鳳珠や悠舜ならいざ知らず、天上天下唯我独尊我が儘大魔王にそんな気を遣う必要もないでしょう」 「………鳳珠にも悠舜にも遣うのなら、私にも気を遣え」 「嫌よ」 対するは、一言できっぱりと切り捨てる。 「……あんまり可愛げのない事を言ってると、襲うぞ」 とりつく島もないの言葉に、いささか気分を害したのか。 黎深は不機嫌さを顔前に押し出したまま、笑えない冗談を零す。 「出来るものならどうぞ。そんなことしたらまず、うちの馬鹿兄貴たちが黙ってないから。 それに邵可様に泣きついて、秀麗姫にもあんたの正体暴露してやるからね。 馬鹿兄貴たちからの仕打ちはともかく、邵可様に怒られる事と秀麗姫に軽蔑の眼差しで見られる事に耐えられる覚悟があるのならね? 」 は目の前の相手以上に不敵な表情を浮かべて、あっさりと言ってのける。 前半はともかく、後半の言葉は聞き捨てならないものだったのだろう。不敵な笑みを浮かべていた黎深の顔が、わずか一瞬で蒼白に染まった。 「……………」 「なによ」 ぶっきらぼうに答えるのとほぼ同時期に、は目の前にいた男の胸に抱き寄せられる。 「私の目の黒いうちは、私以外の男と深い仲になることは許さん」 「わけわからないわよ、黎深。 たかが一ヶ月の間に、私がそこらのゆきずりの男と駆け落ちでもすると? 」 「私は自分が気に入ったものは必ず手に入れる性分でな」 「そんなこと、言われなくても知ってるわよ」 「今は無理でも、いつか必ず。お前を私のものにしてみせる」 軽く受け流そうとしただが、いつになく真剣な黎深の瞳に気圧されて、その先の言葉を失う。 前に一度だけ見た事のあるその瞳は、何よりも瞳の所有者の心を雄弁に語る。 真っ直ぐにの瞳を見据える、漆黒の双眸が語る言葉は。 先ほどの言葉が嘘偽りのない、まぎれもない彼の本心からの言葉であることを暗に示す。 「………それは無理な相談ね」 拒否する事は、すなわち彼を拒絶する事。 傷つけるつもりはなくても、相手を傷つける。 それでも。言わなくてはいけない事なのだ。 が想い焦がれ続ける相手は、昔も今もただ一人。 彼女の心は、十年以上経った今も、愛しい龍蓮の元にある。 聡明な黎深がそのことに気づかないはずもないのに。 「それでも、だ。私に長い間会えないことを残念に思うくらいの気を遣うことくらいは、いかなお前とて出来るだろう? 違うか? 」 「そういう意味で、私を自分のものにするってわけ? 」 「せめて私をお前の二番目に大事な人間にしろということだ」 本当は一番であるのなら、どれほど良いかとは思うが。 十年という長い間、彼女の心を奪い続け、今なお離さない存在に。 もとより敵うとは思っていない。 自分にも彼女とは別に心に住まわせる人間がいるのだから。 彼女の心に住まう人間を追い出す資格は、自分にはない。 だからせめて。共に出会ったあの二人よりも、彼女の心に在りたいのだ。 はしばらく驚いたように黎深の顔をまじまじと眺めていたが、不意に視線を逸らした。彼女の不可解な行動を訝しむ黎深だが、当のはそのことに気づいてはいない。 しばらくあちらこちらへ視線を泳がせていたが、不意にあさっての方へ視線を定めた。 それからほんの少しの時が経った頃。 そしてーーーーーーー。 「別に一ヶ月会えなくても寂しくはないけど……。 一ヶ月後にまた会えるのを、楽しみにしててあげるわ」 未だあさっての方向へと視線を向けたまま、は小声で静かに呟いた。 「最初からそうやって素直に言っていればいいものを……」 「うるさい。そうやって言うと、あんたが余計につけ上がるからよ」 「つけ上がる? それは……こういう事を言うのか? 」 言うやいなや、黎深はに顔を寄せたかと思うと、頬に唇で触れた。 「っっっっっっ、黎深っっっ!!! 」 一瞬何が起こったのかわからなかったものの。すぐに黎深が何をしたかを悟ったは、懐から愛用の鉄尺を取り出し、天誅を加えようとするのだが。 それより一瞬先。黎深は、の身体を離して安全な場所へ避難していたので、の振り下ろした鉄尺は虚しく宙を薙いだだけに終わる。 「心配しなくとも、一ヶ月後にはちゃんとお前の前に姿を見せる」 「一生顔見せないでいいわよ、この我が儘大魔王っっっっ!!! 」 耳まで真っ赤に染めて鉄尺を振り回すを放ったまま、黎深は一度も後ろを振り返る事もなく、そのまま藍邸を後にしたのだった。 は、一生の伴侶にするに値する女だ。 確かにそうは思うものの。 こうして気の置けない会話を交わし、ときには戯れて。 気の置けない親友として接し、接されるのも悪くないと思うのだ。 *後書き… ・おかしい。本当は“絳攸、藍家にお泊まり編”の前ぶりだったはずなのに。 気づけばすっかり完全に、黎深夢と化しておりました。 時間軸的には双花菖蒲たちが国試を受けるよりも前のお話ですねぇ。 ついでに言うと、黎深と鳳珠はまだ尚書ではなくて。悠舜もまだ貴陽にいた時代の話です。 無駄に長くなりました。そしてなんだか黎深が微妙にらしくない。 そう思うのはきっと私だけではないはずだ(オイ)。 しかし、黎深との会話は書いてて非常に楽しいです。本当に。 似たもの同士だからか、はたまた実は相性がいいのか。ま、親友だしね。 |